ささいな始まり
月曜日である。
仕事に晴れやかに行くサラリーマンは少ないだろう。
私もその一人だ。
前日は日曜日。
1週間のうちで最も憂鬱な日。
来週の仕事は山積み。
月曜日から遅くまで仕事するのは目に見えている。
「そろそろいいかもな。」
そう思ってしまった。
そう思いながらも前日の夜はしっかり眠った。
こんなはずではなかった
4月から人事異動があり仕事の中身が変わった。
十数年来の慣れた仕事から別の仕事に変わった。
不安と期待も入り混じる中で不慣れな仕事を数カ月頑張ってみた。
私もそれなりの年齢。
役職もささいながら付いている。
電話ばかりしている部下、新人、育休と最高のメンバーに囲まれている。
日々の仕事が楽しくて仕方がない。
分からないながらも前任者に相談しながら何とかギリギリのところで凌いできた。
社会ではよく聞く話だ。
きっかけは何だったのか
多忙。
1~2世代前のハードワークである。
「知識を身に着けて」
「研修を受けて」
そんなものは一切ない。
なんなら満足なOJTすらない。
引継ぎはペラペラであとは仕事をしながら。だとよ。
フォルダや資料の場所くらい記しておけば良いのに。
ただただ、分からない中で分からない仕事をこなしていく。
自分の中に落とし込む時間などない。
周りに愚痴をこぼしても
「きっと慣れますよ」
「1年我慢すれば」
「みんな通った道」
大変ためになるアドバイスを自分に言い聞かせてきたが。
結局、ダメだった。
月曜日の朝
朝起きてダメそうなら休もう。
そう考えていた。
いつもの時間にアラームで起きる。
案の定。
いや、昨日の時点でこうなると分かっていた。
頭と体が仕事を全力で拒否している。
上司に電話。
「体調不良で今日は休ませてください。」
『風邪か?メンタルか?』
「分かりません。病院に行こうかと考えています」
電話を切った。
【どうなるのか分からない】それは本当の話だ。
今日は仕事に行かなくても良いと少しだけホッとした。
精神科 心療内科はハードルが高い
と言え、困った。
いきなり病院はハードルがあまりに高い。
甘えなのか。
怠けなのか。
自己診断できるわけない。
第三者からの視点が欲しい。
グーグルで検索するメンタルチェックのサイトでは
真っ黒ですねと答えてくれるがそんなもので判断できないだろう。
行政の行う心の健康相談に電話してみた。
正直に、自分がどこまで病んでいるのか調べたい。
そう電話で話した。
運良く担当者が在所しておりその日に会ってもらえることに。
後で分かることだが、病院もこうした窓口も要予約でかなり待たされるそうだ。
不幸中の幸いで当日に対応してもらえたことは感謝すべきだろう。
心の相談の面談では
簡単な環境の聞き取りと、
2カ月程度の気持ちの落ち込みを訴える。
悪くなる前にどうにかしたいと考えていると伝えた。
自己判断できないので専門家の意見が欲しい。
専用のチェックシートを記入。
名称も書かれていたが記憶に残っていない。
何ならここ数カ月があやふやだ。
チェック項目はホームページによくあるようなもの。
元気な時にも見たが、この項目にチェックする人がいるのか。
と思っていた。
まさか自分が当てはまるとは。
記入を終えると担当者は少し詰まるように、結果を重度の【抑うつ】と告げた。
今週いっぱいは休むことを強くお勧めされた。
必ず病院を受けるように勧められた。
チェック内容を振り返りながら言葉にされることで少し涙がでた。
診断ではないが【甘えじゃない】ことを認められたことで少し安心した。
ただ、【思った以上に長くかかりますよ】と言われたことが気を重くした。
上司に明日、なんと電話しようかと思いながら帰宅した。
明日も休みが取れると正直ホッとした
気分は下がっているが、明日も理由があっての休み。
仕事をしなくても良いとホッした。
今はただ、休みたい。
ただそれだけ。
普通の時間にご飯を食べて、ゆっくり風呂に浸かって、眠りたい。
それしかない。
なんか疲れて、どうでも良くなった。
そんな7月23日が始まりだった。